「ボイストレーナーになるには、やっぱり歌が上手くないといけませんか?」
これは、ボイストレーナーという仕事に興味を持った方から、よく出てくる疑問のひとつです。
確かに、歌を教える仕事であれば、歌唱力は高いほうがよさそうに思えます。
ただ、ボイストレーナーにとって「自分が上手く歌える能力」は、必ずしも重要とは限りません。
今回は、ボイストレーナーの仕事の内容を解説していきながら、ボイストレーナーにはどんな能力が必要なのかを明らかにしていきたいと思います。
それではいってみましょう!
ボイストレーナーは「声のお医者さん」
ボイストレーナーは、一言で表すと「声のお医者さん」です。
もちろん、ボイストレーナーは医師ではありませんので、病気を診断したり、薬を処方したり、治療を行ったりすることはできません。
ただ、症状を「診断」し、薬の代わりに練習方法を「処方」するというレッスンのプロセス自体が、病院での治療にとても似ているので、「声のお医者さん」と表現しました。
ボイストレーナーと耳鼻科の先生の違い
ボイストレーナーと耳鼻咽喉科の先生には明確な違いがあります。
耳鼻咽喉科の先生が主に判断しているのは「機能的に異常があるかどうか」です。
・鼻が詰まっていて、息が流れない
・声帯に炎症が起こっていて、しっかり閉じない
・声帯周りに痰がこびりついていて、うまく声が出ない
こういった症状は、鼻や声帯などの発声に関わる部位に明確な「異常」があって声が出しにくくなっていますよね。
それを治療するのが耳鼻咽喉科の先生です。
一方でボイストレーナーは、「発声能力が本人の理想とする状態になっているのかどうか」を判断し、改善していきます。
例えば、「普通に声は出せるけど、プロ歌手のような高音が出せなくて悩んでいる人」がいたとします。
この方は普通に声が出せている時点で機能的には問題がないので、耳鼻科に行ったとしても「綺麗な声帯だね」と言われて問題なしと判断されてしまいます。
こういった場合はボイストレーナーの出番です。
ボイストレーナーであれば、どんな高音を理想とするのかを聞き取りした上で、現状がそうなっていない原因を探り出し、それに合った練習を方法を処方していくことができます。
一方で、「昨日まで出せていた声が、今日になって突然掠れるようになってしまった人」に対しては、ボイストレーナーでは何もできない可能性が高いです。
声帯に炎症やポリープがある場合、声帯が上手く閉じ無くなるので、「体調が悪いわけでもないのに、なぜか声が掠れる」状態になります。
この場合、どんな練習方法を試しても症状は悪化していく一方なので、耳鼻科の先生に診てもらうべき事案になります。
このように、機能自体に問題がある場合は耳鼻咽喉科、機能に問題はないが能力が理想に追いついていない場合はボイストレーナーと、実際は棲み分けがしっかりとなされています。
FUKURAMU MUSIC SCHOOLでボイストレーナーへの一歩を踏み出そう!
ボイストレーナーに必要な能力
ボイストレーナーはお医者さんのように、生徒さんの発声を阻害している原因を見つけ出し、最適な練習方法を提示しなければなりません。
このとき、最も重要になるのは「聞く」能力です。
生徒さんが抱える発声の問題点は声の「音質」に現れます。
ボイストレーナーはこの「音質」を頼りに発声の問題点を探り出し、適切な練習方法を処方していく必要があります。
そのため「どんな音質が、どういった原因と結びついているのか」という「音質と原因のパターン」を、どれだけ広い範囲で把握しているかどうかが、ボイストレーナーとしての実力に直結してきます。
出せないと聞けない
英会話の動画などで「話せないと聞き取れないから、まずは発音の練習から始めましょう」という話を聞いたことはないでしょうか。
これは真実で、ボイストレーナーにも全く同じことが言えます。
自分が出せる、もしくは出したことがある音質だと「あ!これ昔苦しかった時に出してた声と同じだ!」といった具合に、どんな状態になっているのかが音質を通して把握できるのです。
もしくは、生徒さんが理想としている声をボイストレーナー側が出せる場合、「どの音質が足りていないのか」という観点から逆算して教える場合もあります。
いずれにせよ、色々な声が出せる、もしくは色々な声を出してきたという経験自体が、ボイストレーナーの耳代わりになっているのです。
声を成長させた幅が広い方が有利
前段の内容と繋がりますが、ボイストレーナーの聞き取る能力は自身の経験によって培われます。
そのため、「声を成長させた幅」が広い方が、より多くの音質を分析しやすいので、有利です。
例えば、話し声以上のボリュームになると途端に喉が締まってしまい、歌も全く歌えないという人が、自由自在に声を出せるところまで成長してボイストレーナーになったとします。
この人は発声におけるあらゆる悩みを体験として知っているので、音質を聞くだけで症状や原因を特定することができます。
しかし、元からある程度声が出せている状態からボイストレーナーになった人は、喉が締まって苦しいといった感覚に覚えが無いので、なぜそうなっているのか全く理解できず、お手上げ状態になってしまうのです。
つまり、元々の発声状態が悪ければ悪いほど、理解できる症状が増えるという意味では有利に働くのです。
ボイストレーナーは歌が上手い必要はある?
ここで冒頭の問いかけに戻ってきましたね。
もちろんボイストレーナーは歌が上手な必要は「あります。」
歌が上手いに越したことはありません。
しかしもっと大事なのは「練習によってどのくらい上手くなったのか」です。
ボイストレーナーは生徒さんの声を育てるのが仕事なので、育つまでの過程が説明できないといけません。
最初から歌が上手かったり、「なんとなくコツを掴んで上手くなった」という方は、成長の過程を第三者に説明できないので、教える側も教えられる側も困ってしまうのです。
「名選手名監督にあらず」とはよく言ったものですよね。
つまり、前項の内容と同じように、自分で考えて練習して上手くなった幅が多ければ多いほど、ボイストレーナーとしては有利に働くわけです。
歌が下手だからといってボイストレーナーになれないわけじゃない
ここからわかることは、「現状歌が上手くないからといって、ボイストレーナーになれないわけではない」ということです。
「発声について調べたりするのが好きだから、ボイストレーナーになりたいなぁ。でも歌下手だしな、、、」
と悩んでいる人は、むしろチャンスだと思ってください。
ボイストレーナーにとって重要なのは「成長した幅」なので、スタート地点が低いことはあまり問題になりません。
むしろ良いボイストレーナーになるための資格が自分にはあると捉えて、努力してみることをオススメします。
FUKURAMU MUSIC SCHOOLでボイストレーナーへの一歩を踏み出そう!
ボイストレーナーに関するよくある質問
ボイストレーナーとはどんな仕事ですか?
ボイストレーナーは、生徒さんの声を聞いて発声の問題点を見つけ、その人に合った練習方法を提案する仕事です。
単純に歌い方を教えるだけではなく、「なぜ高音が出ないのか」「なぜ大きな声を出すと苦しくなるのか」など、現在の声から原因を探り、理想とする発声に近づけていきます。
病気を診断する医師ではありませんが、声の状態を分析して練習方法を考えるという意味では、「声のお医者さん」のような役割を担っています。
ボイストレーナーと耳鼻咽喉科の先生は何が違いますか?
耳鼻咽喉科の先生は、声帯の炎症やポリープ、鼻づまりなど、声を出すための機能そのものに異常がないかを診察します。
一方、ボイストレーナーが扱うのは、基本的に機能には問題がないものの、「高音が出ない」「声量が出ない」など、現在の発声能力が本人の理想に届いていないケースです。
例えば、以前は普通に出ていた声が急に掠れるようになった場合は、まず耳鼻咽喉科で診てもらう必要があります。
反対に、声帯に異常はないけれど、もっと高い声や自由な声を出せるようになりたい場合は、ボイストレーナーが改善をサポートします。
ボイストレーナーになるにはどんな能力が必要ですか?
特に重要なのが、生徒さんの声を正確に「聞く能力」です。
発声の問題点は、息っぽさや詰まった感じなど、声の「音質」に現れます。
そのためボイストレーナーには、声を聞いたときに「この音質なら、この部分に問題がありそうだ」と原因を推測し、それに合った練習方法を考える能力が求められます。
さまざまな声の特徴と、その原因を結びつけられるパターンをどれだけ持っているかが、ボイストレーナーとしての実力に大きく関わってきます。
ボイストレーナーは歌が上手くないとなれませんか?
歌が上手いことは大切ですが、それ以上に重要なのが「練習によってどのくらい上手くなったのか」です。
ボイストレーナーは、自分が歌うことではなく、生徒さんの声を成長させることが仕事です。
そのため、最初から感覚だけで上手く歌えた人よりも、「高音が出なかったけれど、この練習で改善した」など、自分自身で試行錯誤してきた人のほうが、成長の過程を生徒さんに説明しやすい場合があります。
自分の発声をどのように改善してきたのかを理解していることが、指導するうえでは非常に重要です。
現在歌が下手でもボイストレーナーを目指せますか?
現在の歌唱力だけで、ボイストレーナーになれるかどうかが決まるわけではありません。
むしろ、自分自身が発声に悩み、その原因を調べながら練習して改善していく経験は、将来生徒さんを教える際に役立ちます。
自分が経験したことのある声であれば、生徒さんから似た音質が聞こえたときに、「自分もこの状態になったことがある」と原因を考える材料にできるからです。
今歌が上手くないことよりも、そこからどれだけ発声を理解し、自分の声を成長させられるかのほうが、ボイストレーナーを目指すうえでは重要です。
まとめ
今回は、ボイストレーナーの仕事内容や、ボイストレーナーに必要な能力について詳しく解説しました。
ボイストレーナーというと、「歌が上手い人が歌い方を教える仕事」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
しかし、実際に重要なのは、生徒さんの声を聞いて問題点を見つけ、その原因に合った練習方法を提示できることです。
そして、その「聞く能力」を身につけるうえで、自分自身がさまざまな発声に挑戦し、試行錯誤しながら声を成長させてきた経験は大きな武器になります。
今はまだ思うように歌えないからといって、ボイストレーナーになることを諦める必要はありません。
むしろ、自分の声に悩んだ経験があるからこそ、将来同じような悩みを抱える生徒さんの声を理解できる可能性があります。
ボイストレーナーという仕事に興味がある方は、まずは自分自身の声と向き合いながら、発声について少しずつ学んでみてはいかがでしょうか。
FUKURAMU MUSIC SCHOOLでボイストレーナーへの一歩を踏み出そう!
