みなさんこんにちは!
FUKURAMU MUSIC SCHOOLです!
「ファルセット」という言葉、ボイトレや歌の練習をしているとよく耳にしますよね。
でも、いざ自分で出してみると「ただの弱々しい裏声になってしまう」「サビで使うと曲がしぼんでしまう」と感じている方、多いのではないでしょうか。
そこで今回お手本にしたいのが、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴さんです。
大森さんのファルセットは、弱々しいどころか、楽曲のいちばん感動的な瞬間を作り出す“武器”になっています。
今回は、大森元貴さんのヴォーカルを切り口に、
「そもそもファルセットとは何なのか」
「なぜ大森元貴のファルセットはあれほど人の心を打つのか」
を、発声の仕組みから一緒にひも解いていきます。
それでは早速いってみましょう!
ファルセットとは?
まずは基本の確認から。
ファルセットとは、ざっくり言うと「息漏れを含んだ、軽くやわらかい裏声」のことです。
語源は「false(偽の)」で、地声(本来の声)に対して“作られた声”“もう一つの声”というニュアンスを持っています。
発声の仕組みで言うと、声帯がしっかり閉じきらず、すき間から息が抜けながら鳴っている状態です。
そのため、地声のような芯や力強さはありませんが、その代わりに「ふわっと優しい響き」「切なげな空気感」を出せるのが最大の魅力です。
バラードのサビ終わりで、急に声がやわらかく、息っぽくなる瞬間。あれがまさにファルセットです。
ファルセットとヘッドボイスは何が違う?
ファルセットとよく混同されるのがヘッドボイスです。
どちらも「裏声の仲間」ですが、決定的に違うのは息漏れ(声帯の閉じ具合)です。
・ファルセット…声帯が閉じきらず、息が漏れた「やわらかく弱々しい裏声」
・ヘッドボイス…声帯がしっかり閉じ、息漏れが少ない「芯のあるまとまった裏声」
イメージで言うと、ファルセットは「ため息に音程をつけた感じ」、ヘッドボイスは「裏声なのに前に飛んでくる感じ」です。
大森元貴さんがすごいのは、このファルセット・ヘッドボイス・ミックスボイス・地声(チェストボイス)を、曲の中で自由自在に行き来している点にあります。
なぜ大森元貴のファルセットは人の心を打つのか
ここからが本題です。
大森元貴さんのファルセットが特別に聞こえる理由を、3つのポイントに分けて解説していきます。
① 地声と裏声の“つなぎ目”が聞こえない
大森さんはよく「天然ミックス」と言われ、ご本人も「高音になると勝手にミックスボイスになる」という趣旨の発言をされています。
普通の人は、地声から裏声に切り替わる瞬間に「ガクッ」と段差ができたり、声がひっくり返ったりします。
ところが大森さんは、地声→ミックス→ファルセットへの移行がなめらかで、どこで切り替わったのか分からないほどシームレスです。
このおかげで、ファルセットが「逃げ」や「失速」ではなく、自然な表現の流れとして聞こえるのです。
② ファルセットでも“芯”と“距離感”が残っている
弱々しくなりがちなファルセットですが、大森さんのファルセットは息っぽさの中にもしっかり芯があり、遠くまで届く響きを持っています。
これは、完全に脱力した息漏れ声ではなく、必要な分だけ声帯を閉じてコントロールしているからです。
つまり、「やわらかさ」と「届く強さ」を両立させた裏声を出せているわけです。
③ 楽曲ごとにファルセットの“表情”を変えている
大森さんは、約3.5オクターブと言われる広い音域を持ち、「音色の魔術師」とも評されます。
同じファルセットでも、切なさを出す場面、透明感を出す場面、儚さを出す場面で、息の量や響きの当て方を変えています。
ファルセットを「ただ高い音を出す手段」ではなく、感情を乗せる表現として使っているのです。
楽曲で見る、大森元貴のファルセット活用術
具体的な楽曲で、大森さんのファルセットの使い方を見ていきましょう。
「ケセラセラ」— あえて張り上げない選択
「ケセラセラ」の最高音はD#5(高いレ#)と言われています。
注目したいのは、大森さんがこの最高音の部分を、力強いミックスやベルティングで張り上げるのではなく、あえてファルセットに切り替えている点です。
無理に張り上げれば確かに迫力は出ますが、大森さんは曲の軽やかさ・前向きさに合わせて、あえて力を抜いた響きを選んでいます。
「高い音は全部全力で張り上げる」のではなく、「曲に合わせて声の種類を選ぶ」。
これこそが、ヴォーカル力の高さを示す判断だと言えます。
バラードでの“消え入るような”ファルセット
「Soranji」のような壮大なバラードでは、フレーズの終わりや静かなパートで、息を多く含んだファルセットを使い、感情の余韻を作っています。
サビで力強く歌い上げた直後に、すっと力を抜いた裏声に切り替えることで、ダイナミクス(音の強弱の振れ幅)が生まれ、聴き手の心が大きく動かされます。
高音や裏声を自在に操りたい方は「高音ボイトレレッスン」へ!ヴォーカル力とは「声をコントロールする力」
ここまで読んでいただくと分かる通り、ヴォーカル力とは「高い声が出ること」でも「大きい声が出ること」でもありません。
地声・ミックス・ヘッドボイス・ファルセットといった“声の種類”を、曲の表現に合わせて自在に選び、なめらかに行き来できる力こそが、本当のヴォーカル力です。
大森元貴さんは、その極めて高いレベルのお手本と言えます。
そして大切なのは、この力は「才能だけ」ではなく、正しい練習で誰でも少しずつ伸ばせるということです。
ファルセットを“魅せる声”に育てる練習法【オクターブ練習】
ここからは、SCHOOLのレッスンで実際に効果を上げている練習法を紹介します。
大森元貴さんのような、地声と裏声をなめらかに繋ぐ感覚を養うのにとても有効な「オクターブ練習」です。
基本のやり方
「ソ」→オクターブ上の「ソ」というように、跳躍のある音形で声をあてていきます。
低い音と高い音をワンセットで行き来することで、声区の切り替えをコントロールする力が一気に鍛えられます。
イメージはリコーダーを吹く感覚に近いです。
リコーダーは、高い音と、低い音で、息の使い方が大きく変わりますよね。吹き込み過ぎると音がひっくり返ってしまったり。発声もこれとよく似ています。

ポイント① 低い音は「優しくゆるやかな息」で
下の音を出すときは、息を強く吹きつけてはいけません。
優しく、ゆるやかな息を流すように出さないと、音がうまく鳴ってくれません。
ポイント② 高い音は「細く速い息」で
逆に高い音は、息の量を出し過ぎると声がひっくり返ってしまいます。
量ではなく、細く・速い息を意識することがコツです。
ポイント③ 高音ほど「顎をしっかり開く」
高い音を出すときは、喉の隙間が狭くなりがちです。
そこで、しっかり顎を開くことが大切になります。
目安は、耳の下(顎の関節が開く部分)を触りながら口を開けたときに、そこが凹むくらいまで開くこと。顎の関節からしっかり開いていきます。
ポイント④ 2つの音の「音量・クオリティ」を揃える
低い音と高い音とでは、必要な息の量も口の中のスペースも変わります。
それらを調整しながらも、低い音と高い音の音量・声のクオリティを揃えていくイメージで発声するのが最大のポイントです。
仕上げは「半音階で上下」
この意識を持ったまま、半音ずつ上がったり下がったりしながらオクターブ練習を繰り返します。
生徒さんにこのポイントを意識して取り組んでもらうと、驚くほど音程と音質のコントロールが上達していきます。
地道な反復ですが、大森元貴さんのようなシームレスな声の切り替えは、まさにこうした基礎の積み重ねから生まれるのです。
高音や裏声を自在に操りたい方は「高音ボイトレレッスン」へ!ファルセットに関するよくある質問
ファルセットとヘッドボイスの違いは?
どちらも裏声の仲間ですが、最も大きな違いは「息漏れ(声帯の閉じ具合)」です。
ファルセットは声帯が閉じきらず、息が漏れたやわらかく弱々しい裏声です。
一方でヘッドボイスは、声帯がしっかり閉じて息漏れが少なく、芯のあるまとまった裏声になります。
ざっくり言うと、ファルセットは「ため息に音程をつけた声」、ヘッドボイスは「裏声なのに前に飛んでくる声」とイメージすると分かりやすいです。
大森元貴さんのように地声と裏声をなめらかに繋ぐにはどうすればいい?
いきなり繋ごうとするより、まずは地声と裏声を「行き来する」練習がおすすめです。
この記事で紹介したオクターブ練習のように、低い音と高い音を跳躍で往復することで、声の切り替えをコントロールする感覚が育っていきます。
大森さんのようなシームレスな繋ぎは、特別な才能だけでなく、こうした基礎練習の積み重ねからも近づいていけます。
ファルセットは喉に悪いですか?
正しく出せていれば、ファルセット自体が喉に悪いわけではありません。
むしろ脱力して出す裏声なので、力みやすい人にとっては喉の負担を減らすきっかけになることもあります。
ただし、無理に大きな声を出そうとして喉を締めたり、息を強く押し出しすぎたりすると、負担がかかることがあります。痛みや強い疲労を感じる場合は、一度出し方を見直すことが大切です。
ファルセットが弱々しくなってしまうのはなぜ?
息が漏れすぎていて、声帯がうまく閉じられていないことが主な原因です。
ファルセットは息漏れのある裏声ですが、漏らしすぎると音がスカスカになり、芯のない頼りない声になってしまいます。
少しずつ息漏れを減らして声帯を閉じていくと、やわらかさを残したまま芯のある裏声(ヘッドボイス寄りの響き)に近づき、弱々しさが解消されていきます。
大森元貴さんのような歌声は独学でも目指せますか?
基礎的な感覚づくりは、独学でも十分に取り組めます。
オクターブ練習や、息のコントロールを意識した発声練習などは、ひとりでも続けることができます。
ただし、声の切り替えは「できているつもり」でも喉を締めているだけのことが多く、自分では気づきにくいものです。痛みや声枯れが出る場合や、伸び悩みを感じる場合は、一度ボイストレーナーに確認してもらうと上達が早まります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ファルセットは、ただの「弱々しい裏声」ではありません。
大森元貴さんのように使いこなせば、楽曲のいちばん感動的な瞬間を作り出す、強力な“表現の武器”になります。
大切なのは、力強い声と弱い声、地声と裏声を「どちらが上か」で考えるのではなく、曲に合わせて自在に選べるようになることです。
その第一歩として、まずはファルセットを「気持ちよく響くやわらかい裏声」として出せるよう、少しずつ練習を重ねていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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