みなさんこんにちは!
FUKURAMU MUSIC SCHOOLです!
「昔から音痴で、自分は音感がないんです」
「絶対音感がないから、歌が上手くならないんですよね」
レッスンの体験にお越しになる方から、本当によく聞く言葉です。
でも、これだけは先にお伝えさせてください。
歌で使っているのは「相対音感」という力で、これは大人になってからでも確実に伸ばせます。
しかも、音程がズレてしまう原因は、大きく分けるとたった3つしかありません。
原因が分かれば、やるべき練習も決まります。原因を特定してから練習を始めることが、変化までの最短ルートです。
今回は、音感に苦手意識のある方に向けて、
- 相対音感とは何なのか
- あなたの音程がズレている原因はどのタイプなのか
- タイプ別に、何をどう練習すればいいのか
を、実際のレッスンでやっている方法を交えながら解説していきます。
この記事のセルフチェックと練習には、すべて「何をするか」「何を確認するか」「どうなれば成功か」を書いています。一人で判定して、一人で進められる形にしていますので、上から順に進めてみてください。
それでは早速いってみましょう!
「音感がない」と思っている人のほとんどは、すでに音感を使っている
絶対音感と相対音感は、まったく別の能力
まず、よくある誤解を整理しておきます。
絶対音感は、基準の音が何もない状態で、聞こえた音を「今のはラの音だ」と言い当てられる能力です。
一般的に幼少期(おおむね6歳頃まで)の訓練で身につきやすいと言われていて、大人になってから完全に獲得するのは難しいとされています。
相対音感は、基準になる音と比べて、次の音がどれだけ高いのか低いのかがわかる能力です。
音と音の「距離」を測る力ですね。
そして、歌を歌うときに使っているのは、ほぼ100%こちらの相対音感です。
あなたはすでに相対音感を使っている
「自分には音感なんてない」と思っている方に、いつもお伝えしていることがあります。
カラオケでキーを下げて歌ことはありますか?その時曲をある程度まで歌えていれば音感が良い証拠です。
キーを下げるということは、出てくる音の高さが全部変わっているということです。それでも歌えるのは、メロディを音の並びの形(距離)で覚えているからです。
場所によって少しくらい音がズレていても、これはもう、相対音感が働いている証拠です。
そして相対音感のトレーニングとは、もともと持っている感覚の精度を上げていく作業です。
時間はかかっても、トレーニングによって確実に改善していきます。
ここが「絶対音感は大人になったら手遅れ」という話と決定的に違うところです。
音の高低の判別が難しい状態は、ごく少数
補足として、先天的に音の高低の判別が難しい「失音楽症(アミュージア)」という状態も報告されていますが、その割合は人口の数%程度とされています。
裏を返せば、「音痴」と自称している方の大半は、訓練で改善できる範囲にいるということです。
音程がズレる原因は3タイプに分けられる
ここからが本題です。
レッスンで音程のお悩みを伺っていると、原因は大きく3つに分類できます。
- タイプA:音の違いが「聞き取れていない」(知覚の問題)
- タイプB:聞き取れているが「声が合わせられない」(運動の問題)
- タイプC:自分の声が「聞こえていない」(モニタリングの問題)
同じ「音程がズレる」という症状でも、原因が違えば処方箋はまったく変わります。
そして意外なことに、苦手意識を持っている方に一番多いのはタイプBとCで、純粋なタイプAは少数派です。
まずは自分がどれなのか、確認していきましょう。

【セルフチェック】あなたはどのタイプ?
用意するものは、スマホだけで大丈夫です。
- ピアノアプリ(鍵盤が表示されるもの)
- チューナーアプリ(音名と、セント単位のズレを表示してくれるもの)
- 録音アプリ(標準のボイスメモでOK)
- イヤホン(チェック③で使います)
アプリはすべて無料で揃います。チューナーアプリは、「+10」「-15」のようにセント表示が出るものを選んでください。この記事では、このセント表示を使って合否を判定します。
この記事で使う2つの物差し
覚えていただく基準は、次の2つだけです。すべてのチェックと練習で、この2つを使い回します。

物差し1|チューナーの±20セント(1つの音を判定するとき)
- 声を5秒出します。
- 出し始めの2秒はチューナーの表示が揺れるので、後半3秒の表示を見ます。
- 後半3秒の間、表示が目標の音名のまま、-20〜+20の範囲に収まっていれば成功です。
物差し2|「ズレて聞こえた音の数」(歌を判定するとき)
- 録音した自分の声を再生します。
- 「今の音、外れているな」と聞こえた音の数を、指で数えて紙に書きます。
- この数字を、条件を変えて録り直したものと比べます。

この記事では、この2つの数字で毎回判定していきます。
チェック①:2つの音の高い・低いが分かるか(タイプA判定)
このチェックは、自分で出題して、自分で答える形で行います。鍵盤を押した瞬間にどちらが高いか分かってしまうので、先に問題を録音してから、時間をおいて回答します。
使う鍵盤(5組)
基準になるのは、ピアノアプリの真ん中のド(C4)です。次の5組のペアを使います。
- オクターブ:ド(C4)と 1つ上のド(C5)
- 完全5度:ド(C4)と ソ(G4)
- 長3度:ド(C4)と ミ(E4)
- 長2度:ド(C4)と レ(D4)
- 半音:ド(C4)と ド♯(C♯4)
低い方を先に鳴らせば上行、高い方を先に鳴らせば下行になります。使う鍵盤はこの6つだけです。
準備(問題を作る/1組につき5分)
- 紙に1から10まで番号を書きます。
- 録音アプリを起動します。
- コインを1回投げます。表なら「低い方 → 高い方」、裏なら「高い方 → 低い方」の順で、ペアの2つの鍵盤を1音2秒・間0.5秒で鳴らして録音します。
- 紙の1番に、鳴らした順(上がった/下がった)を書きます。
- 3秒あけて、次の問題へ。これを10問分繰り返します。
- 録音を止め、紙は裏返して伏せます。
スマホの音量は、「同じ部屋の離れた人(3〜4m先)に話しかけるくらい」に合わせてください。
5組ぶん(計50問)を続けて録音してしまうのがおすすめです。録音は1組につき1本に分け、ファイル名に「オクターブ」「完全5度」のように距離を書いておきます。ここまでで15分ほどかかりますが、この録音は毎日の練習でもそのまま使えます。
手順(回答する)
- 録音してから3時間以上あけます(翌日でも構いません)。
- 録音を再生し、1問ずつ「上がった」「下がった」を紙の裏に書いていきます。
- 10問答え終わったら、伏せておいた答えと照合します。
どうなれば成功か
10問中8問以上の正解で、その段階はクリアです。オクターブ → 完全5度 → 長3度 → 長2度 → 半音の順に進み、7問以下だった段階が出てきたら、そこでストップします。
結果の読み方
- 長2度または半音で止まった:多くの方がここです。この距離は、歌の中でも判断が難しい距離です。
- オクターブ・完全5度・長3度のどこかで止まった:タイプAの要素があります。
- 半音まで8問以上正解できた:耳での聞き分けは足りています。タイプBまたはタイプCです。
ここが分かるだけでも、練習の方向性が変わります。作った録音は捨てずに残しておいてください。タイプAの練習でそのまま使います。
チェック②:聞いた音と同じ高さの声が出せるか(タイプB判定)
準備
- ピアノアプリで、男性はソ(G3)、女性はソ(G4)を鳴らします。
- チューナーアプリを起動し、口から20cmほど離した位置にスマホを置きます。
手順(1回=約10秒)
- 鍵盤を2秒鳴らします。
- 鍵盤から手を離し、その高さで「あー」を5秒出します。音量は「腕を伸ばして届く距離の人に話しかけるくらい」です。
- 後半3秒のチューナー表示をメモします(音名とセントの数字)。
- 3秒休み、これを合計5回行います。
どうなれば、どのタイプか
- 5回中4回以上で、音名がソ・セントが±20以内 → タイプBの要素はありません
- 音名がソの隣(ファ♯やラ)になる回が2回以上 → タイプBです
- 後半3秒の間に音名が別の音名へ変わる回が2回以上(声が定まらない状態です) → タイプBです
チェック③:自分の歌のズレが後から分かるか(タイプC判定)
準備
- 曲を1曲選びます。条件は「テンポがゆっくり(♩=60〜90くらい)」「サビの音の動きが1音ずつ隣に進む箇所が多い」ものです。童謡、卒業ソング、バラードから選ぶと当てはまりやすいです。
- 伴奏(原曲でも構いません)をイヤホンで両耳から聴きながら、スマホの録音アプリで自分の声だけを録音します。
- 録音するのはサビの最初の2小節だけです。
手順
- 2小節を歌って録音します。
- 歌い終わった直後に、「今、自分でズレたと思った音の数」を紙に書きます(0でも構いません)。これを数字Aとします。
- 24時間以上あけてから、録音を再生します。
- 再生を聴いて、「ズレて聞こえた音の数」を数えて書きます。これを数字Bとします。
どうなれば、どのタイプか
- B - A が 2以上(歌っているときより、聴き返したときのほうがズレを多く見つけた) → タイプCです
- B - A が 0〜1 で、Bが2以上 → 歌っている最中からズレに気づけています。チェック②の結果でタイプBかどうかを判断してください
- Bが0〜1 → この2小節については、音程は取れています
タイプCの原因は、歌っている最中に自分の声が聞こえていないことです。
3つの結果をまとめる
タイプ別の練習に進む前に、次の3行を紙に書き出してください。
- チェック①:7問以下で止まった段階( )/半音までクリア
- チェック②:5回中、音名がソで±20以内だった回数( 回)
- チェック③:数字B -数字A =( )
複数のタイプに当てはまった場合は、A → B → C の順に取り組んでください。耳で距離が分かるようになると声を合わせやすくなり、声が合うようになると自分の声のズレにも気づきやすくなる、という順番になっているためです。
自分のタイプを一緒に見極めたい方は「ボイストレーニングレッスン」へ!タイプ別・相対音感の鍛え方
原因が分かったら、そこだけを狙って練習します。
タイプA(聞き取れていない人)の練習法:距離を段階的に狭める
この練習で身につけるのは、2つの音の距離を耳で聞き分ける解像度です。やることはシンプルで、セルフチェック①で作った録音を、そのまま毎日の練習に使います。
準備
- チェック①で7問以下だった段階を確認します。ここが出発点です。
- その段階のペアで、チェック①の「準備」と同じ手順で10問の録音を1本作ります(コインで順番を決めて録音し、答えを紙に伏せておきます)。
手順(1日5分)
- 録音は前日以前に作ったものを使います。その日の朝に作った録音は、翌日に回します。
- 再生して10問答え、答え合わせをして、正解数を日付とともに記録します。
- 翌日ぶんの録音を1本作って、その日は終わりです(ここまでで約5分)。
どうなれば成功か
10問中8問以上の正解が3日続いたら、その段階はクリアです。1つ距離を狭めた段階(オクターブ → 完全5度 → 長3度 → 長2度 → 半音)へ進みます。
7問以下の日が3日続いた場合
次の順番で条件を1つずつ変えて、8問以上に届く条件を探してください。
- 1音の長さを2秒から4秒に伸ばして録音し直します。
- それでも届かない場合は、2音の間を0.5秒から2秒に広げます。
- それでも届かない場合は、1つ広い距離の段階に戻して3日続けてから、また戻ってきます。
耳は、広い距離から細かい距離へと解像度が上がっていきます。オクターブから順に、1段階ずつ狭めていくのが鉄則です。

タイプB(声が合わせられない人)の練習法:「うなり」を消す
ここが一番お伝えしたい練習です。この練習で身につけるのは、基準音に自分の声をぴったり重ねる力です。
2つの音の高さがわずかにズレていると、「ワンワンワン」という周期的な揺れが聞こえます。これを音響学では「うなり」と呼びます。
うなりは、2つの音の周波数の差の分だけ、1秒間に発生します。
たとえばA4(440Hz)に対して10セント(半音の10分の1)ズレた声を出すと、その差は約2.5Hz。つまり1秒間に2〜3回、音が揺れて聞こえるわけです。
これは非常に便利な性質で、うなりが聞こえている=ズレている、うなりが消えた=合っているという、耳だけで使える判定装置になります。
準備
- ピアノアプリで、男性はソ(G3)、女性はソ(G4)を、伸ばしっぱなしにできる状態にします。
- スマホの音量を「腕を伸ばして届く距離の人に話しかけるくらい」に合わせます。自分の声も同じ音量で出します。基準音と自分の声の音量をそろえることで、うなりが聞こえるようになります。
- 基準音の1つ下の鍵盤(半音下/男性F♯3・女性F♯4)を1秒鳴らし、その高さを覚えます。ここが開始地点です。
手順(1回=約20秒)
- 基準音(ソ)を鳴らし続けます。
- 半音下の高さから「うー」と声を出し始めます。
- 声を切らずに、10秒かけて半音ぶんゆっくり上げていきます。
- 「ワンワン」という揺れが1秒に1回より遅くなった地点で、声の高さを止めます。
- そのまま5秒キープします。
- キープの後半3秒を、チューナーで確認します。
- 5秒休み、これを5回で1セット。2セット行います(1日5分)。
何を確認するか(耳で確認 → チューナーで答え合わせ)
- 下から近づけていく10秒の間に、揺れが「速い → 遅い → 消える」と変化する
- キープした5秒の後半3秒で、チューナーの音名がソのまま、セントが±20以内
どうなれば成功か
1セット5回のうち、3回連続で「音名がソ・±20セント以内」に入れば成功です。
ポイントは、下からゆっくり近づけていくことです。近づけていくと、うなりが「速い→遅い→消える→また速くなる」と変化していくのが分かります。この変化を体験すると、「合っている状態」が感覚として掴めます。
うなりが聞こえない場合
次の順番で条件を1つずつ変え、揺れが聞こえる条件を見つけてください。それぞれ1回ずつ試します。
- スマホの音量を1段階上げます。
- 母音を「うー」からハミング(んー)に変えます。口の中が狭いぶん自分の声が骨伝導でよく聞こえて、うなりを感じ取りやすくなります。
- 開始地点を全音下(2つ下の鍵盤/男性F3・女性F4)に変えて、最初のズレを大きくします。ズレが大きいほど揺れは速くなり、聞き取りやすくなります。
- 基準音のオクターブを、自分の声が届く高さに合わせて上下させます(男性でソ(G3)が高い場合は1オクターブ下のソ(G2)、女性でソ(G4)が高い場合は1オクターブ下のソ(G3))。
揺れが聞こえた条件が見つかったら、その条件のまま5回×2セットを行ってください。

タイプC(自分の声が聞こえていない人)の練習法:耳を戻す
この練習で改善するのは、歌っている最中に自分の声が聞こえている状態を作ることです。
歌っている最中に自分の声が聞こえなくなる原因は、だいたいこの3つです。
- 伴奏やカラオケの音量が大きすぎる
- 自分の声を「出すこと」に意識が向きすぎている
- イヤモニやヘッドホンで両耳をふさいでいる
対処法もシンプルです。次の4つを、上から1つずつ試して比べます。
準備
- チェック③で使ったのと同じ曲の、同じサビ2小節を使います。
- 伴奏をイヤホンで両耳から聴きながら歌い、声だけを録音します。これが基準の録音です。
- 録音をその場で再生し、ズレて聞こえた音の数を数えて書きます。
手順(1条件=約2分)
- 条件A:右耳を右手のひらで覆って歌います。手のひらを丸くして、耳と手のひらの間に空気の層を作ります(自分の声が骨伝導と反射で戻ってきます)。
- 条件B:イヤホンを片耳だけ外して歌います。
- 条件C:伴奏の音量を2〜3段階下げて歌います。
- 条件D:伴奏を止めて、アカペラで歌います。
それぞれ同じ2小節を録音し、その場で再生してズレて聞こえた音の数を書き出します。
どうなれば成功か
基準の録音より、ズレて聞こえた音の数が1つ以上少なくなった条件があれば成功です。数が最も少なかった条件を、普段の歌い方として採用してください。
特に条件A(片耳を手で覆う)は効果が分かりやすいので、今すぐ試してみてください。自分の声がはっきり聞こえるようになり、それだけで音程が改善する方もいます。
採用した条件で、同じ2小節を1日3回、3日間録音し、ズレて聞こえた音の数を記録していくと、自分の変化が数字で見えるようになります。
「音域」が原因になっているケースを切り分ける
ここで、非常に大事な切り分けをお伝えします。
音程がズレる原因が、そもそも「その音が出せる音域にない」というケースが本当に多いです。
高すぎて出ない音を無理に出そうとすると、声は必ず下にぶら下がります。この場合は、音域が足りていることが先に必要になります。
判定は、キーを変えて3回歌い、ズレて聞こえた音の数を並べることで行えます。
手順(約10分)
- チェック③と同じサビ2小節を、原曲キーで録音します。再生して、ズレて聞こえた音の数を書きます。
- 同じ2小節をキー-2で録音し、同じように数えます。
- 同じ2小節をキー-3で録音し、同じように数えます。
カラオケアプリや動画サイトの再生速度・キー変更機能を使うと、キーを変えた伴奏が用意できます。
どうなれば、音域が原因か
キー-2または-3で、ズレて聞こえた音の数が原曲キーの半分以下になったら、あなたの課題は音域にあります。
自分に合ったキーの決め方
- サビの中で一番高い音を、ピアノアプリで確認します。
- その音を「あー」で5秒伸ばします。
- チューナーで、後半3秒がその音名のまま±20セント以内に収まれば、そのキーで歌えます。
- 音名が下の音へ落ちる場合は、キーを1つ下げて2からやり直します。
まずは、この手順で見つけたキーで歌ってみてください。

音の距離は「知っている曲」で覚えると早い
度数を理論から覚えようとすると挫折しやすいので、知っている曲の歌い出しに置き換える方法をおすすめしています。
- 長2度(1音):「かえるの合唱」の歌い出し(ドからレ)
- 完全5度:「きらきら星」の1音目から2音目(ドからソ)
- 1オクターブ:「Over the Rainbow(虹の彼方に)」の歌い出し
- 下がる短3度:救急車のサイレン、子どもが「あーそーぼー」と呼ぶときの音程
この4つを、耳で覚えるだけでなく、声で出して答え合わせまで行うと、曲の中で使えるようになります。
手順(1曲=約1分/1日4曲で5分)
- ピアノアプリで、男性はド(C3)、女性はド(C4)を2秒鳴らします。
- その音を1音目として、上の4つのうち1つの頭2音だけを「あー」で歌います。1音目を2秒、2音目を5秒伸ばします。
- 2音目の後半3秒を、チューナーで確認します。
- ピアノアプリで正しい2音目(長2度ならレ、完全5度ならソ、1オクターブなら1つ上のド、下がる短3度なら下のラ)を鳴らして、答え合わせをします。
- 4つの曲を1回ずつ行います。
どうなれば成功か
2音目の後半3秒が、目標の音名のまま±20セント以内に収まれば成功です。4曲すべてで成功する日が3日続いたら、この4つの距離は自分のものになっています。
自分の中に見本の曲を持っておくと、音を聞いたときに「あ、これはきらきら星の距離だ」と判断できるようになります。
まずはこの4つだけで十分です。
【4週間プログラム】1日5分で相対音感を鍛える
やることが分かっても、順番が分からないと続きません。
苦手意識のある方向けに、無理のない4週間の流れをまとめました。判定に使うのは、この記事で使ってきた「±20セント以内」と「ズレて聞こえた音の数」の2つだけです。
1週目:うなりを消す(ユニゾン)
- やること:タイプBの練習(基準音ソを鳴らし続け、半音下から10秒かけて近づけ、5秒キープ)
- 分量:5回×2セット(1日5分)
- 確認:キープした5秒の後半3秒を、チューナーで見る
- 合格ライン:音名がソのまま±20セント以内が5回中3回連続。これが2日続いたら2週目へ進みます。
2週目:2音の距離を聞き分ける
- やること:チェック①の方式でオクターブ → 完全5度 → 長3度の順に10問クイズ。あわせて、同じ距離を声でも歌います
- 分量:クイズ10問+歌唱5回(1日5分)
- 確認:クイズは正解数。歌唱は、基準音を2秒鳴らしてから2音目を5秒伸ばし、後半3秒をチューナーで見る
- 合格ライン:クイズが10問中8問以上、かつ歌唱が5回中3回で±20セント以内。両方そろった段階から、次の距離へ進みます。
3週目:音階を移動ドで歌う
- やること:基準音を1つ鳴らし、その音を「ド」だと決めて「ドレミファソファミレド」を歌います
- 分量:基準音は男性ド(C3)、女性ド(C4)。1音2秒(9音で18秒)を5回×1セット(1日5分)
- 確認:最後の「ド」だけは5秒伸ばし、後半3秒をチューナーで見る
- 合格ライン:最後の「ド」が、最初の基準音と同じ音名のまま±20セント以内。5回中3回で合格です。
- 届かない場合:1音2秒を1音3秒に伸ばし、「ドレミファソ」の5音だけで同じ確認を行ってから、9音に戻します
4週目:実際の曲で確認する
- やること:チェック③と同じ条件(♩=60〜90くらい、1音ずつ隣に進む箇所が多い曲)のサビ2小節を録音して聴き返します
- 分量:1日3回録音(約5分)
- 確認:再生して、ズレて聞こえた音の数を毎回記録します
- 次の一手:ズレて聞こえた音を1つ選び、その音とその1つ前の音の2音だけを取り出して、1週目の方法(基準音を鳴らし、うなりが消える地点で5秒キープ)で練習します
- 合格ライン:週の最終日の「ズレて聞こえた音の数」が、初日より1つ以上少なくなっていれば合格です。
大事なのは、苦手な箇所を曲から取り出して、単独で練習することです。
曲を頭から通して歌うだけの練習は、できない箇所ができないまま定着してしまいます。
相対音感が身につくと、歌はこう変わる
ここまでの練習を続けると、具体的にこんなメリットが出てきます。
- 自分のズレに自分で気づけるようになる(これが最大のメリットです)
- キーを変えても迷わず歌える
- ハモリやコーラスが歌えるようになる
- 耳コピができるようになる
- カラオケの採点で音程バーに乗りやすくなる
- 自分で練習を修正できるので、上達が止まらなくなる
特に1つ目が重要です。
ズレに気づけない状態では、どれだけ練習しても間違ったまま繰り返してしまいます。
相対音感を鍛えるということは、自分専用のコーチを自分の中に持つということなのです。
相対音感トレーニングでよくある失敗
最後に、遠回りしがちなパターンを3つ挙げておきます。
失敗①:基準音を鳴らさずに練習してしまう
相対音感は、基準があってこそ働く能力です。
基準音を1音鳴らしてから歌い始めると、比べる相手が決まり、練習として成立します。
練習を始める前に、毎回1音を鳴らしましょう。男性はソ(G3)、女性はソ(G4)を2秒です。
失敗②:合っているかを自分の感覚だけで判断する
苦手意識がある段階では、「合っている感覚」自体がこれから育っていく途中です。
チューナーの±20セント、録音、うなりという外側の物差しを必ず併用してください。自分の耳だけを信じるのは、耳が育ってからで大丈夫です。
失敗③:いきなり難しい曲で練習する
相対音感の練習に向いているのは、テンポが♩=60〜90くらいで、1音ずつ隣に進む箇所が多い曲です。ロングトーン中心の曲や、童謡レベルのシンプルなメロディが当てはまります。
1音を2秒以上伸ばせる速さの曲を選ぶと、1音ずつチューナーで確認できるようになります。
よくある質問
大人からでも相対音感は身につきますか?
はい、身につきます。
絶対音感は幼少期の訓練が必要と言われていますが、相対音感は年齢に関係なく伸ばせる能力です。むしろ、理屈で理解できる大人のほうが上達が早いケースもあります。
4週間プログラムの1週目(うなりを消す練習)は、初日から取り組めて、その日のうちにチューナーで結果を確かめられます。
自分は本当に音痴なのですが、それでも変わりますか?
まずは本記事のセルフチェック①〜③で、ズレる原因がどのタイプか特定してください。3つとも、スマホだけで一人で判定できます。
音の聞き分け自体が難しいタイプ(チェック①のオクターブ・完全5度・長3度で止まる方)は少数派です。
多くは「声が合わせられない」(チェック②で音名が隣に来る)、「自分の声が聞こえていない」(チェック③で数字Bが数字Aより2以上多い)、あるいは音域が足りていない(キーを下げるとズレて聞こえた音の数が半分以下になる)ことが原因です。
原因が分かれば、対処できます。
どのくらい練習すれば効果が出ますか?
個人差はありますが、1日5分でも毎日続けるほうが、週1回まとめてやるより効果的です。
変化は、記事内の数字で確かめられます。
- 1週目:うなりの練習で「±20セント以内」に入った回数(5回中何回か)
- 4週目:サビ2小節で「ズレて聞こえた音の数」
1週間続けたところで、±20セント以内に入った回数が先週より増えているか、ズレて聞こえた音の数が先週より減っているかを見てください。どちらか一方でも動いていれば、前に進んでいます。
楽器が弾けなくても練習できますか?
できます。
この記事の練習で使う鍵盤は、チェック①の6つ(ド・ド♯・レ・ミ・ソ・1つ上のド)と、基準音のソ、そして移動ドで使うドだけです。1本の指で1つずつ押すだけなので、楽器の演奏技術は必要ありません。
スマホのピアノアプリ・チューナーアプリ・録音アプリの3つとイヤホンがあれば、記事内のすべての練習と判定ができます。
カラオケの採点は上がりますか?
採点の大部分は音程の正確さが占めています。
自分のズレに気づけるようになると音程バーへの追従精度が上がり、結果として点数も伸びやすくなります。
点数の変化を見る前に、まずは「サビ2小節でズレて聞こえた音の数」を減らすところから始めてください。2小節が安定すると、曲全体の音程も安定していきます。
「うなり」がよく分かりません。どうすればいいですか?
次の4つを、上から1つずつ試してください。それぞれ1回ずつで構いません。
- スマホの音量を1段階上げて、基準音と自分の声の音量をそろえます。
- 母音を「うー」からハミング(んー)に変えます。
- 開始地点を全音下(2つ下の鍵盤)に変えて、最初のズレを大きくします。ズレが大きいほど揺れは速く、近づくほどゆっくりになります。
- 基準音のオクターブを、自分の声が届く高さに合わせて上下させます。
「ワンワン」という揺れが聞こえた条件が、あなたの練習条件です。その条件のまま5回×2セットを行ってください。
まとめ
今回は、音感に苦手意識のある方に向けて、相対音感のメリットと鍛え方を解説しました。
- 歌で使っているのは相対音感で、大人からでも伸ばせる
- キーを変えても歌える時点で、あなたはすでに相対音感を使っている
- 音程がズレる原因は「聞き取れていない」「声が合わせられない」「自分の声が聞こえていない」の3タイプ
- タイプBには「うなりを消す」練習、タイプCには「片耳を覆う」対処が効く
- キーが高すぎるだけ、というケースも非常に多い
- 練習は1日5分、うなり → 距離の聞き分け → 音階 → 実曲の順番で
それぞれの練習には、次の判定方法を用意しました。
- タイプA:録音した10問クイズで8問以上正解(正解数を数える)
- タイプB:うなりが消えた地点で5秒キープし、後半3秒が±20セント以内(チューナーで見る)
- タイプC:条件を変えて録音し、ズレて聞こえた音の数が1つ以上減る(数を数える)
- オクターブ跳躍:跳んだ1秒後から2秒間が±20セント以内、ティッシュの揺れ幅3cm以内(チューナーで見る・目で見る)
覚える基準は「±20セント以内」と「ズレて聞こえた音の数」の2つだけです。この2つで、今日の自分と1週間前の自分を比べられます。
音感は、原因を特定したところから伸びていきます。
原因を特定して、正しい順番で練習すれば、音程は必ず変わっていきます。
FUKURAMU MUSIC SCHOOLでは、一人ひとりの原因を見極めたうえで音感トレーニングを行っています。
「自分がどのタイプなのか分からない」「一人だと合っているか判断できない」という方は、ぜひ一度体験レッスンにお越しください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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