みなさん、こんにちは!
FUKURAMU MUSIC SCHOOLです。
「もっとうまく歌えるようになりたいんです」
体験レッスンにお越しになる方の多くがおっしゃる言葉です。
続いてよく伺うのが、「サビの高いところで声が出なくなる」「2番の途中から疲れて苦しくなる」というお悩みです。
高音が出にくいと、「もっと腹筋を使おう」「もっと大きな声を出そう」と考える方がいます。しかし、レッスンで声を聞かせていただくと、必要以上の息や音量で歌い始めたために、後半まで声がもたなくなっているケースがよくあります。
そこで今回のコラムでは、「うまく歌うコツ」を「小さく出して、響かせる」という一つの考え方に絞って解説します。
コツをたくさん覚える前に、この感覚をつかむと、高音や長い曲を練習しやすくなります。
それでは、早速見ていきましょう!

「うまく歌えない」の原因として多い“出しすぎ”
まず、歌が苦しくなるときに何が起きているのかを整理します。
声は、喉頭にある左右一対の「声帯」が、肺から送られる息によって振動することで生まれます。その音が喉、口、鼻などを通る間に特定の音の成分が強調され、私たちが聞いている声になります。
発声には、声帯の動きと息のバランスが必要です。必要以上に強く息を送ると、安定した振動を保ちにくくなり、首や喉の周りにも余分な力が入りやすくなります。
その結果、次のような流れが起こります。
息と音量を増やす → 首や喉に力が入る → 声を出しにくくなる → さらに強く出そうとする
この状態で歌い続けると、曲の後半ほど苦しくなります。
高音を安定させる最初の一歩は、今の発声に必要以上の息や力が加わっていないかを確認することです。
声帯だけで音量を作ろうとしない
ここでもう一つ、大切なことをお伝えします。
声の大きさと音色は、声帯の振動だけで決まるものではありません。声帯で生まれた音は、喉、口、鼻などの空間を通る間に形を変え、聞き取りやすい声になります。
レッスンでは、ギターに例えてお話しすることがあります。
ギターの弦だけをボディから外して弾くと、小さく短い音がします。ギターらしい豊かな音になるのは、弦の振動がボディへ伝わり、響き方が整うからです。
人の声も、声帯で生まれた音を、喉から唇までの空間で整えています。声帯を強く鳴らすことだけに頼ると疲れやすくなるため、口の形や母音も使って、聞こえやすい響きを作ることが大切です。
高音に使う力を「10」から「3〜4」へ
先日、Mr.Childrenの「HANABI」を練習されている男性の生徒さんのレッスンで、こんなやりとりがありました。
この曲は後半まで高音が続くため、最後まで歌い切るには発声の配分が重要です。
その生徒さんは、歌唱自体はとても良いものの、終盤の連続する高音で疲れ、声が出にくくなることが課題でした。
そこで、私は次のようにお伝えしました。
「今、高音に使っている力を10だとしたら、3〜4まで下げて歌ってみましょう」
まず、近くの人に話しかける程度の音量で同じフレーズを歌い、首の筋が浮き出ないことと、顎が前へ出ないことを鏡で確認してもらいました。
半信半疑のまま試していただくと、それまで押し上げていた高音が、軽い感覚で鳴るようになりました。最終的にはハイC付近まで、以前より首や喉の力を抑えて到達できました。
ご本人も、「今までと感覚が全然違う」と驚いていらっしゃいました。
高音では、声帯の調整、息の流れ、母音の形、響きのバランスが変化します。力を増やし続けるより、音量を一度下げたほうが、自分に必要な調整を見つけやすくなります。
音量を下げると、なぜ歌いやすくなるのか
もう一人、生徒さんの例をご紹介します。
優里さんの「ドライフラワー」を練習されている方で、高音になると息を使いすぎることが長らくの課題でした。高音で急に息っぽい声になるか、首や喉に力が入る状態になっていたのです。
そこで、その日は近くの人に話しかける程度の音量にそろえ、曲を最初から最後まで歌っていただきました。途中で音量が上がったら一度止まり、同じフレーズを小さい音量で歌い直します。
すると、これまでのレッスンでは届かなかった、地声と裏声の中間に感じられる位置で、息漏れの少ない音が初めて出ました。
大きな音を優先していたときには出なかった声が、音量を下げたことで見つかったのです。
音量を下げると、息の勢いで高音を押し上げる動きが減り、声帯と息のバランスや、母音の形に意識を向けやすくなります。同じ音量で繰り返すうちに、余分な力が入る瞬間も見つけやすくなりました。
うまく歌いたいときほど、練習では一度音量を下げる。これが、高音を無理なく整えるための近道になることがあります。
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ここからは、「小さく出して響かせる」感覚を見つける3つの練習をご紹介します。
1. エッジボイスで、少ない息から声が始まる感覚を知る
エッジボイスは、「あ゛、あ゛、あ゛」と一音ずつ途切れて聞こえる、低い発声です。ドアがゆっくりきしむ音にも似ています。
何をするか
- その日に出しやすい声の高さを、鍵盤またはピアノアプリ等でを音を鳴らし、同じ高さで「あー」と1秒伸ばします。
口をあけた状態で息を止めているイメージをすると声帯を閉じることができるので、そこから声を出し始めます - そこから半音ずつ下げ、1音につき2秒「あー」と発声します。
- 途切れた低い音が出たら、そこで下げるのを止めます。基準音から半音5つ下げても出ない場合は、その日は終了します。
- 見つけた音を2秒出し、5秒休む動作を5回繰り返します。
何を確認するか
口の前5センチに手のひらを置きます。音は途切れて聞こえる一方で、手に強い風が当たらないことを確認します。鏡を見て、顎が前へ出ず、首の筋が浮き出ていないことも確認してください。
どうなれば成功か
2秒間、途切れた低い音が続き、口の前の手に強い風を感じず、喉に痛みや圧迫感がなければ成功です。低さを競う練習ではありません。首や喉を固めないと音が出ない場合は、そこで中止します。
この練習の目的は、声帯を強く締めることではなく、少ない息でも声が始まる感覚を知ることです。

2. ストロー発声で、一定の息のまま音程を動かす
ストロー発声は、ストローで口の出口を狭くしたまま声を出す練習です。先端を水へ入れると、自分の息が泡として見えるため、息を強く出しすぎていないか確認できます。
何をするか
- 透明なコップに常温の水200ミリリットルを入れ、倒れない場所へ置きます。
- ストローの先端を、水面から2センチの深さまで入れます。深く入るほど抵抗が増えるため、2センチを保ってください。
- ストローを前歯でかまず、唇で隙間なく囲みます。ストローの外側から息が漏れていないことを、口元へ指を近づけて確認します。
- サイレン音を真似するようなイメージで「ウーーーーン」と低い音から、高い音(自然と裏声へ切り替わるように)発声し、泡を出します。息を吸うときは、口からストローを外します。
- 響も低い音は口から、高い音は鼻の方へ移動していくようなイメージをしてみてください
- 1回終わるごとに5秒休み、合計5回行います。
何を確認するか
上がる途中も下がる途中も、小さな泡と声が止まらないことを確認します。水がコップの外へ飛ぶほど泡が大きくなっていないか、鏡の中で肩が上がっていないかも見てください。
どうなれば成功か
4秒間、泡と声が一度も途切れず、水を飛び散らせずに基準音まで戻れたら成功です。泡が止まる、泡だけが出て声が止まる、喉に圧迫感が出る場合は、上がる幅を半音3つ分に減らします。それでも続かない場合は、その日は基準音を3秒出す練習だけで終了します。
5回終えたら、練習中の曲から5〜10秒の1フレーズを選び、「ストロー発声→ハミングの『んー』→歌詞」の順で1回ずつ歌います。3回とも同じメロディーを保ち、歌詞に移ったときも近くの人に話しかける程度の音量で歌えれば、練習の感覚を歌詞へ移せています。

3. 顎の動きを整えて、母音を作る空間を確保する
高音で顎が固まったり前へ出たりすると、母音を作りにくくなり、首や喉にも余分な力が入りやすくなります。ここでは、顎を大きく開くことより、まっすぐ動かすことを練習します。
何をするか
- 鏡の前に立ち、舌先を下の前歯の裏へ触れさせます。
- 上から垂れてくる蜂蜜を口で受け止めるつもりで、「あ」の形を作ります。
- 4秒で顎を下げ、4秒で元の位置へ戻します。これを5回行います。
- 1回目は、縦にそろえた人差し指1本が上下の前歯の間に入る幅を目安にします。痛みや引っかかりがなければ、2回目以降は1本半、次に2本まで段階的に広げます。指で顎を押し広げる動作は行いません。
何を確認するか
鏡で、顎が左右へずれずに下がること、顎先が前へ出ないこと、頭が後ろへ倒れないことを確認します。顎関節に痛みや「カクッ」という音が出た場合は、その幅から広げません。
どうなれば成功か
5回とも顎がまっすぐ上下し、頭と肩が動かず、痛みがなければ成功です。
最後に、練習中の曲から「ア」の母音を含む苦しい1フレーズを選び、近くの人に話しかける程度の音量で1回歌います。鏡を見て、顎を前へ突き出さずに「ア」が聞き取れる形を作れたら、ストレッチの動きを歌へ使えています。

それでも変わらないときのチェックポイント
録音で「響いて聞こえる声」を探す
自分が発声中に聞いている声と、周囲へ届く声は同じではありません。スマートフォンの録音を使うと、聞こえ方を比べやすくなります。
- 静かな部屋で、スマートフォンを近くに置きます。
- 練習中の曲から5〜10秒の1フレーズを選びます。
- 1回目は歌詞だけで歌います。
- 30秒休みます。
- 2回目はストロー発声、ハミング、歌詞の順に同じフレーズを歌います。
- 2回とも、近くの人に話しかける程度の音量にそろえます。
録音を聞き、2回目で母音と子音が1回目と同じかそれ以上にはっきり聞こえ、息の「ハー」という音が増えていなければ、音量を上げずに聞き取りやすい声を作れています。カラオケでいう「マイクに乗る」感覚を、耳で確認する方法です。
よくある質問
Q. 腹式呼吸ができていないから、歌が下手なのでしょうか?
腹式呼吸だけで歌の上手さが決まるわけではありません。呼吸は、フレーズに必要な息を準備し、その息を急に吐き切らずに使うための土台です。
まずは肩を上げずに息を吸い、4秒かけて「スー」と一定に吐いてみましょう。4秒の途中で音が急に強くなったり、最後の1秒だけ弱くなったりしなければ、息を一定に送る練習ができています。
Q. 小さい声で練習していて、本番で声量は足りますか?
小さい声での練習は、声帯、息、母音のバランスを見つけるために行います。バランスが整ったあと、近くの人に話しかける音量から、同じ部屋の離れた人に話しかける音量へ、1段階ずつ上げていきます。
音量を上げたときに首の筋が浮く、顎が前へ出る、音程が下がるという変化が出たら、直前の音量へ戻してください。形を崩さずに1フレーズを3回歌えた段階で、次の音量へ進みます。
Q. 地声と裏声のどちらで高音を出せばいいですか?
曲で求める音色によって選択は変わります。地声と裏声では、声帯の振動の仕方や周囲の筋肉の働き方などが複合的に変化します。
一人で練習するときは、まず裏声で目的の音程を1秒伸ばし、痛みや圧迫感なく3回出せることを確認します。次に、同じ音を近くの人に話しかける音量で出し、息漏れの音を1段階ずつ減らしていきます。地声の音量で押し上げる動作は行いません。
途中で裏返ること自体は失敗ではありません。音色をつなげる練習には個人差があるため、喉に力が入る場合はボイストレーナーなど、声を直接確認できる専門家と進めるのがおすすめです。
Q. 毎日どれくらい練習すればいいですか?
1日1回、合計5分から始めてください。
- エッジボイス:2秒×5回
- ストロー発声:4秒×5回
- 顎のストレッチ:8秒×5回
- 残りの時間:歌の1フレーズで確認
練習は、周囲と自分の動きを確認できる場所で行います。歩行中、運転中、入浴中など、姿勢や体調の変化に気づきにくい状況では行わないでください。
まとめ
今回は、「うまく歌うコツ」を「小さく出して、響かせる」という一つの軸で解説しました。
最後にポイントを整理します。
- 高音が苦しくなる人には、息や音量を増やしすぎているケースがある
- 声は、声帯の振動と、喉・口・鼻などの空間の働きによって作られる
- 力を「10」から「3〜4」へ下げると、高音に必要な調整を見つけやすくなる
- 小さい音量で練習すると、息の勢いに頼らず、声帯・息・母音のバランスを確認しやすい
- エッジボイス、ストロー発声、顎のストレッチは、時間と回数を決めて短く行う
- 鏡と録音を使い、顎や首の動き、声の聞こえ方を自分で確認する
歌がうまい人は、必要な息、声帯の調整、母音の形を、その音程に合わせて使っています。
この感覚は、一度で完成させるものではありません。小さい音量で1フレーズずつ確認し、同じ動きを繰り返せる範囲を少しずつ広げていきましょう。
FUKURAMU MUSIC SCHOOLでは、一人ひとりの声を実際に聞かせていただきながら、その方に合う息の量、母音の形、響き方を一緒に探しています。
「サビで苦しくなる」「高音だけどうしても届かない」という方は、ぜひ一度、体験レッスンでお試しください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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