みなさんこんにちは!
FUKURAMU MUSIC SCHOOLです!
突然ですが、「いい声」ってどんな声だと思いますか?
いい声のイメージはすぐに思い浮かんでも、なぜそれをいい声だと感じるのか、どうしたらいい声になれるのかは、なかなか思いつかない方も多いのではないでしょうか。
今回は、いい声とはそもそもどんな声なのか、どうすればいい声になれるのか、というテーマで書いていきたいと思います!
それではいってみましょう!
いい声とは?
このコラムでは、いい声を「響きのある声」と定義します。
一般的にも、響きのある声はいい声だと捉えられることが多いと思います。
しかし、どんなものを響きと呼ぶのかについては、具体的なイメージがしにくいですよね。
ここからはどんなものを響きと呼ぶのか、解説していきます。
響きとは「倍音」のこと
響きの正体は「倍音」と呼ばれるものです。
声の印象というのは、実は倍音によって決まっています。
下の写真は、筆者がA3(低いラの音)の地声で「アー」と発声した際のスペクトラム表(声の周波数を表す表)です。
ハッキリした音質とこもった音質2種類で出してみました。
ハッキリしたア↓

こもったア↓

「ハッキリしたア」を方を見てもらうと、尖った波形が概ね等間隔に並んでいますよね。
1番左の尖った部分が「基音」と言われる部分で、今回だとA3の高さの音を表しています。
その右にズラーッと並んでいる尖った部分が全て「倍音」です。
今回出しているA3はヘルツで表すと220Hzなので、220→440→660→880・・・
という具合で、等間隔に音量の大きい周波数(尖った部分)が並んでいますね。
(横軸はkHzなので、「1」と書いてあるところが1000Hzです。)
声帯が理想的な状態で振動していると、このように倍音が高音域まで等間隔に並ぶと言われています。
高音域まで倍音が綺麗に残っていると、言葉がハッキリ明瞭に聞こえるようになります。
籠っていて聞き取りづらい声は「いい声」とは思われづらいので、高音域まで倍音が綺麗に残っていることは、いい声の条件の一つと言えるでしょう。
一方で、「こもったア」の方を見ていただくと、ところどころ倍音が潰れている帯域がありますよね。
特に1300〜2000Hz辺りと、3500Hz以降の倍音が、顕著に潰れています。
声帯振動が理想的な状態で無くなると、このように高音域の倍音が潰れて、声は籠った印象になります。
つまり、いい声の条件である「聞き取りやすさ」は、理想的な声帯振動によって倍音が潰れず綺麗に残ることによって、生み出されているのです。
FUKURAMU MUSIC SCHOOLの「発声基礎レッスン」でいい声を作ろう!
【いわゆる「いい声」】低音イケボの正体
いい声の正体は響きのある声であり、響きとは倍音であるとご説明しましたが、世間一般的にイメージする「いい声」の代表格は、ジョンカビラさんや声優の速水奨さんのような、いわゆる「低音イケボ」かと思います。
こういった方達の倍音はどのようになっているのでしょうか。
名前を挙げさせていただいたお二方は低音がとても魅力的ですが、声が籠っていて聞き取りづらいという印象は全くありません。
これは、音程として聞こえる音(基音)が低いだけで、先程の「ハッキリしたア」と同様に、高い周波数帯まで倍音が潰れずに残っているからです。
それと同時に、口や声道(声帯上部の空間)の形が低音(基音〜1000Hzくらいまでの帯域)を強調しやすい形になっているため、声に「ふくよかさ」が足され、大人っぽい色気や余裕感を感じられる声になっています。
(口や声道は、形を変えることで様々な帯域の倍音を強調できるのです。)
このように低音イケボは、豊かな声帯原音と巧みな声道操作のコラボレーションによって成り立っているのです。
理想的な声帯振動とは?
さて、ここまでで、いい声を作るためには「高音域まで倍音が綺麗に残っていること」と「その倍音の中から必要な帯域を声道で強調すること」が重要だとご説明しました。
つまり、いい声を作るためには、まず声帯で豊かな倍音を作り、その後に口や声道の形によって音色を整える必要があります。
そこでここからは、いい声を作る上で重要になる「声帯振動」と「声道操作」の2つについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
カバー層振動を取り戻せ!
まず重要になるのが、声帯の表面にある「カバー層」です。
声帯は、筋肉のような比較的硬い部分だけでできているわけではありません。
表面には柔らかく波打つ組織があり、この部分までしなやかに振動することで、声帯は規則的な振動を作りやすくなります。
この表面側の柔らかい部分を、大まかに「カバー層」と呼びます。
カバー層までしっかり振動していると、基音の2倍、3倍、4倍……と続く倍音が高音域まで残りやすくなります。
その結果、声に自然な明るさが生まれ、言葉もハッキリ聞き取りやすくなるのです。
しかし、声帯が必要以上に強く閉鎖されてしまうと、カバー層が押し潰されるような形になり、十分に振動しにくくなります。
すると、高音域の倍音が弱くなり、声はこもった印象になってしまうのです。
つまり、いい声を作るための土台になるのは、適切な声帯閉鎖によって生み出された、カバー層までしなやかに振動している声帯原音なのです。
舌、顎、唇、軟口蓋、喉仏の分離
声帯で豊かな倍音を作ることができたら、次に重要になるのが「どの倍音を強調するか」です。
先ほど低音イケボの説明でも触れた通り、声帯で作られた倍音は、口や喉の中にある「声道」を通ることで、一部の周波数帯が強調されます。
どの帯域が強調されるかによって、明るい声、太い声、柔らかい声、ふくよかな声など、最終的な声の印象が変わります。
そして、この声道の形を大きく変えているのが、舌、顎、唇、軟口蓋、喉仏です。
舌の位置が変われば口の中の空間が変わり、顎の開き方が変われば声道の広さも変化します。
唇をすぼめたり横に広げたりすることでも、声道の出口の形や長さが変わります。
軟口蓋の位置が変われば鼻へ抜ける音の量が変わり、喉仏が上下すると声道全体の長さや喉の中の空間も変化します。
つまり、この5つを細かく操作できるほど、どの帯域の倍音を強調するかを調整しやすくなるということです。
ただし、ここで一つ問題があります。
人によっては、この5つのうち一つを動かそうとすると、別の部分まで一緒に動いてしまうことがあります。
例えば、口を開こうとすると、顎が下がるのと一緒に舌まで下がってしまう。
唇をすぼめようとすると、唇だけでなく顎まで一緒に動いてしまう。
また、声の高さや音色を変えようとした時に、舌や顎、喉仏など複数の部分がまとめて動いてしまう人もいます。
このように、本人としては一つの部位だけを動かしているつもりでも、実際には複数の部位がセットになって動いていることがあるのです。
この連動が強いと、狙った声道の形を作ることが難しくなります。
例えば、低音にふくよかさを足そうとして喉仏を下げた時に、舌まで一緒に奥へ引っ込んでしまえば、必要以上にこもった音色になることがあります。
反対に、明るい声を作ろうとして舌を前へ動かした時に、顎や唇まで一緒に動いてしまえば、今度は別の帯域まで変化してしまいます。
そのため、いい声を作る上では、舌、顎、唇、軟口蓋、喉仏をそれぞれ独立して動かせることが重要なのです。
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いい声を出すための練習方法
ここからは、実際にいい声を出すための練習方法をご紹介します。
声帯原音を整えれば、口の形の操作だけで響きが変えられることを是非体感してみてください。
SOVTトレーニング
まず最初に行ってほしいのが、SOVTトレーニングです。
SOVTとは、ハミングやリップロールのように、息の出口を狭くした状態で息を吐きながら声を出すトレーニングのことです。
息の出口を狭くすると、声を出した際に声帯の上側にも出ていけなかった分の空気圧がかかります。
この圧力によって声帯が振動しやすくなるため、声帯をグッと強く閉じなくても、カバー層までしなやかに振動させやすくなります。
また、どのSOVTトレーニングも、「息を吐くこと」と「声を出すこと」を同時に行うので、声帯をグッと閉じて息を堪えてしまう動作を未然に防げます。
まさに、適切な声帯振動を取り戻す上で一石二鳥なトレーニングが、SOVTトレーニングなのです。
今回はハミングを使ってみましょう。
まず、肩と首はリラックスした状態で深めに息を吸って、鼻から出してください。
この時に、手の甲を鼻の下にかざすなどして、鼻息の強さを覚えておいてください。
次に、好きな音程でハミングをしてみましょう。
ここでも鼻息の強さを手の甲などで測定してください。
すると、息だけの時と、声を出した時で、鼻息の強さに変化がありませんか?
おそらく大半の方が、声を出した時の方が鼻息が弱かったはずです。
この鼻息の強さを揃えていってみましょう。
音程や出し方を色々変えてみて、息だけの時と鼻息の強さが変わらない出し方を模索してください。
このトレーニングをすることによって、声帯を強く閉めて息を堪える動作を改善していくことができます。
鼻息の強さが変わらないハミングが出せてくると、必ず声が喉ではなく「顔の前面」の方で鳴っている感覚になります。
これが声帯のカバー振動を取り戻したサインです。
その感覚を掴んだら、次の練習へ進んでください。
ハミング→ウ→ア
鼻息の強さが変わらないハミングができ、顔の前面に響く感覚を掴めたら、その響きを保ったまま発音を変えていきましょう。
ハミングによって声の倍音構成が整っていれば、口の形を変えるだけで強調される倍音が変化し、声の印象が変わるはずです。
まず、先ほど作ったハミングを出してください。
出せたら、顔の前面にある響きを感じたまま口を少し開けて、発音を「ウー」に変えます。
ここからは、ハミングの時と同じ量の息を吐き続けなくてOKです。
息の量を変えずにハミングをしたのは、あくまで声帯のカバー振動を取り戻すためなので、顔の前面の響きがキープできているのであれば、息を吐く量は減らして構いません。
5秒程度ロングトーンできる程度に減らしてください。
その状態のまま、「ウー」からゆっくり「アー」に近づけていきます。
ここで注目してほしいのが、声の響きの変化です。
声帯で作られた倍音構成が整っていれば、発音を「ウ」から「ア」に近づけていくだけで、どこかのタイミングで声がパッと明るく、ハッキリ聞こえ始めるポイントが出てくるはずです。
反対に、「ウ」から「ア」に変えても響きが変わらない場合は、まだ声帯原音の倍音が十分に整っていない可能性があります。
その場合は、再度ハミングの練習へ戻り、鼻息の強さと顔の前面の響きをもう一度確認してみてください。
このステップでは、声の出し方を変えなくても、声の響き方が変えられることを体感することが主な目的です。
声帯原音さえ整っていれば、頑張らなくても聞き取りやすい「いい声」が出せるということを体感してしてもらえていたら幸いです。
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いい声に関するよくある質問
いい声は生まれつき決まっていますか?
声帯の大きさや声道の長さなど、生まれつき決まっている部分はあります。
一方で、声帯の振動状態や、舌・顎・唇・軟口蓋・喉仏の使い方はトレーニングによって変えていくことができます。
そのため、自分が持っている声の特徴を活かしながら、より響きのある声へ近づけていくことは十分可能です。
低い声の方がいい声に聞こえやすいですか?
低い声は、ふくよかさや落ち着きを感じやすいため、「いい声」と捉えられることは多いと思います。
ただ、低い音程だけで声の印象が決まるわけではありません。
低音でも高音域の倍音がしっかり残っていることで、ふくよかさと聞き取りやすさを両立した声になります。
顔の前面に響きを感じれば、必ずいい声になっていますか?
顔の前面に響きを感じることは、声帯を強く固めずに振動できているかを判断する一つの目安になります。
その上で、実際に聞いた時の明瞭さや、スペクトラム表の倍音構成も合わせて確認すると、より判断しやすくなります。
「感覚」「聞こえ方」「スペクトラム」の3つをセットで確認してみてください。
声を大きくすると響きも増えますか?
声量を上げることで倍音全体が強くなることはあります。
ただ、声を大きくしようとして声帯を強く閉じすぎると、カバー層の振動が小さくなり、高音域の倍音が減ってしまうことがあります。
まずは普通の会話程度の音量で響きのある声を作り、その状態を保ったまま少しずつ声量を上げていくのがおすすめです。
どれくらい練習すればいい声になりますか?
声の癖には個人差があるため、必要な期間も人によって変わります。
まずは1回5〜10分程度を目安に、ハミングや「ウ→ア」の練習を繰り返してみてください。
毎回長時間行うよりも、顔の前面に響く感覚や、声がハッキリするポイントを確認しながら短時間でも継続する方が、感覚を定着させやすくなります。
まとめ
ここまで、いい声の正体から、実際に声を整えていく練習方法までご紹介しました。
「いい声」というと、生まれ持った声質や才能のように感じるかもしれませんが、実際には声帯振動と声道の使い方によって大きく変わります。
まずはハミングでカバー層まで振動しやすい状態を作り、その響きを保ったまま少しずつ発音を変えてみてください。
自分の声がパッと明るく、ハッキリ聞こえるポイントが見つかってくると、「響きのある声」が少しずつ再現できるようになります。
今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ自分にとって一番気持ちよく響く声を探してみてください。
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